物事がわかり始める3歳頃からチャイルドコーチングが有効に使えるようになります。
チャイルドコーチングの基本の1つに「傾聴」、すなわち「子供の話をじっくり聞く」というものがあります。
傾聴で意識すること
「傾聴」は最も大切なステップであり、子供との信頼関係の構築に非常に重要です。これだけでも大きな効果があります。
傾聴で意識することは、以下のことです。
- 最後まで話を聞く(途中で言葉を挟まない)
- 観察しながら聞く(表情や手振りにも注意を払う、話のストーリーではなく感情に注目する)
- 非言語コミュニケーションを聞く(言葉だけでなく、相手の表情や態度から意図を読み取る)
- 共感しながら聞く(相槌を打つ、ポイント部分を繰り返すことで話している相手と歩調を合わせる)
- 時間をかけて聞く(子供が無言になったり、話が脱線しても聞き続ける)
最後まで話を聞く
子供の話を聞く際、途中で話を遮ってしまった経験があるのでは?
「でもさ」
「それはさ」
・・・
早い段階で口を挟むと、子供の真意からずれた意見をしてしまう確率が高くなり、「やっぱり話を聞いてくれない」と子供をがっかりさせてしまうでしょう。
これでは信頼関係が築けません。子供が考えることを諦めてしまいかねないです。
子供にとって話にくい大切な内容であればあるほど単刀直入にはなれず、長い前置きや話の堂々巡り、一見関係のない話などが出てくるようになるでしょう。
子供にとっては本当の気持ちを話す前の「準備」会話なのですが、親がそこで早急に口を挟んでしまえば、子供は本題に入っていけなくなるかもしれません。
子供の話の途中で早急に結論を出そうとしたり、助言したりしないようにしましょう。
気持ちに水をさしてしまう
途中で(親、先生)が会話の主導権をとってしまえば、子供はそれ以上努力して心を吐露する気にはなれないでしょう。
真剣になっていればいるほど、途中で口を挟まれることで傷ついてしまう子もいます。
『信頼関係』が崩れた状態ではコーチングを進めても思うような効果は得られません。
また、話をしている子供は自分の「本当の気持ち」を探りながら話をしています。親が途中で口を挟み、それに子供が対応しなければいけなくなると子供の思考の流れを遮ってしまうことにもなります。
そうすれば、子供に話をさせようと思っても途中で子供は思考の探求(考えること)を諦めてしまうかもしれません。思考の諦めは「わからない」「どうでもいい」などの投げやりな態度となって返ってくるかもしれません。
口を挟まず話を聞ける時間が長くなればなるほど、そのヒアリング行為だけで解決していく問題が多いことに気がつかれると思います。
人は話を聞いてもらうだけで大きな満足感が得られるから。
経験ないですか?
話を聞いてもらって胸のつかえが取れたこと。
なぜ親は早く話を終わらせたいと思うのか
問題が深刻であればあるほど、子供の話を時間を聞くのが難しい理由に「子供の辛い姿は見たくない」という親の当然の心理があるのではないでしょうか。
子供には笑顔で日々を送って欲しいというのが親の願いです。
でも自分のことを振り返っても、楽しいことばかりではなかったのではないでしょうか?
自分はそんな時、親にどうして欲しかったでしょうか。
例えば、「前向きに考えて見たら」「気にしない方がいいよ」と言われれば、解決したでしょうか?
こういったアドバイス的な言葉は、一見「愛」のように思いますが、本当にそうでしょうか。
そもそも、感情を知らなかった幼い子供に感情を教えて来たのは親自身。
泣けば、「怖かったんだね、びっくりしたね」など感情を受け止めてもらえていたはず。
それが、感情が複雑に成長した途端「そんな風に思ってはだめ」と否定されるとしたら、子供が戸惑い混乱するでしょうし、ショックを受けることもあるでしょう。
でも、親としては子供の辛い姿を知りたくないと思ってしまう気持ちも分かります。
そんな時は次のことを考えて見て下さい。
- 話すこと自体が子供のセラピーになっているので、聞くことで子供の助けをしている。
- 人には自分で問題を解決する潜在能力があるのだから子供自身が解決できる。
- 子供が「辛い感情」を訴えても親(聞き手)に問題を解決してもらおうとは思っていないことが多い。
学校で男の子同士のトラブルがありました。
くすぐられ、くすぐる立場のそれぞれの男の子がいました。やめてとも嫌だとも言われなかったし、くすぐられる方の子はくすぐられると宇宙語を話すというようなことをしていたそうです。遊んでいる認識だったそうです。
が、ある日、担任の先生の所にくすぐられている男の子のお母さんからメールが届きました。
息子がくすぐられて嫌がっている。。。と。
担任の先生はすぐさまくすぐっていた男の子を呼び出しました。そして、こういうことをしたのか?ダメだろう。というように叱ったそうです。子供からしたら、先生とは無条件に緊張し圧力を感じる存在。状況は説明できなかったそうです。先生にこそ、子供との信頼関係を築いて頂き、本人同士の話を聞くと同時に周りへのヒアリングも実施するなどの手間をかけて頂きたいと思います。
そういうことのできている学校は問題が深刻化せず、学校が健康体であるように思えます。
親が出てきたから、そちらを鵜呑みにするのでは、子供からの信頼がガタ落ちでしょうし、どうせ先生に話しても信じてもらえない、という具合になってしまい、真相がうやむやなまま言ったもの勝ちという結果になってしまうような気がします。
時間をかけて聞く
色々な効果的なリスニング・テクニックを駆使したとしても、聞くことに、親に十分な時間を取ってもらえないと、子供は「話を聞いてもらえた」とは感じにくいようです。
大人と違い、子供は初めから理論立てて話すことは難しい。
考えながら、時に脱線しながら、「話す」ということで、「思考」を整理していくのです。
話している間に、新しい興味が湧いたり、気持ちを思い出したりと色々な現象が起こっているのです。
また、子供が途中で会話の内容を変えたり、沈黙が続いたりしても、待ってあげて下さい。
子供は自分でも気づかない気持ちに向き合っているのかもしれません。
答えは出ていても、気恥ずかしさから話題をそらしたりすることもあるのです。
大人向けのコーチングも長い時間をかけて行うもの。
短時間で結果が得られないのはある意味当たり前なのです。
一度で無理なら何度も時間をかけてお子さんの感情を少しずつ明らかにしていきましょう。